7月14日、小学6年生が長野県信濃美術館(長野市)による出張授業を受けました。日本画家・東山魁夷に関する話を中心に、「おもしろ美術講座」というだけあり図工・美術に興味を持つことができる楽しい講座でした。まずは繊細な日本画がどのように描かれるのか、画材である「岩絵具(いわえのぐ)」が細かくすりつぶされた岩からできていることや、膠(にかわ。おもに三千本膠)という牛皮を基にした天然の接着剤が使われていると聞いて、子どもたちはとても驚いていました。 そして、東山魁夷の代表作「緑響く」を大きな画面で鑑賞し、どんなものが描かれているか意見を出し合う場面では、子どもたちはすみずみまで目を凝らし、落款があることにも気付きました。この作品のモチーフとなった場所がどこかを質問されると、6年生のほとんど知っており(実施に訪れたことがある子もいました)、声を揃えて「御射鹿池(みしゃかいけ)※」と答えていました。 また、同作品に自分でタイトルをつけてみたり、他作品の複製画を見たりして、ひとりひとりに違った感じ方、捉え方があるのだということを全体で共有することができました。
「自分が知らないことを教えてもらい、図工が好きになりました。」 「東山魁夷のことや作品について、もっと知りたくなりました。」 「日本画について興味がわきました。」 「自然が生き生きと描かれた作品を見て、私もそういう絵が描けるようになりたいと思いました。」
子どもたちは、魁夷の生き方を知り、魁夷の描いた絵画の美しさに心を揺さぶられました。すばらしい作品をたくさん鑑賞し、魁夷の愛した自然が身近にあることを実感できた1時間でした。
※御射鹿池…茅野市蓼科高原、奥蓼科に位置するため池。酸性の水質で魚などは棲むことができないが、周囲の風景が湖面に映り込み、四季を通じ美しい風景を見ることができる。
6月9日(木)、小学6年生が社会科見学で千曲市にある森将軍塚古墳を訪れ、事前の授業で学んでいた古代の日本における豪族や古墳を実際に見て理解を深めました。
この古墳は今から約1600年前の4世紀末に造られた、信濃国の前身・科野(シナノ)の首長の墳墓と見られています。築造当時のままに復元された古墳は、丘の尾根いっぱいに葺石(ふきいし)が敷きつめられ、きれいな稜線を描いていました。子どもたちは学芸員の方の話にしっかり耳を傾け、森将軍塚古墳の歴史・規模などをワークシートにどんどん記入していきました。「森将軍とはどんな人だったのか」との質問をすると、「森」というのは苗字などの人物名ではなく、地区名だとのことでした。また「どんなものが石室(ひつぎ)の中に入っていたのか」などの質問をし、遺跡から出土した副葬品などについて丁寧に答えていただきました。
高台からの景色も素晴らしく、千曲川や田畑を見下ろすと、当時の周辺が豊かであったことが想像でき、地元・信州の史跡や郷土に対する意識も高まりました。
6月3日(金)、小学4年生が国語の単元学習のひとつとして新聞づくりの出前授業を受け、信濃毎日新聞社の講師の方から新聞についての知識と見出しの作り方、記事の書き方などを教わりました。題材は、総合学習で取り組んでいる、「長野県の市町村の観光大使になろう」の自分で選んだ市町村について。実際に現地へ行ったり調べたりして学習を重ねてきたことを記事にして、下級生に知らせるための新聞です。
「新聞なんてほとんど読まないかも・・・。」と言っていた子どもたちですが、当日の新聞をもらうと新鮮な感動があったようで、我を忘れて読んでいる姿が見られました。講師の方の話や教え方がとても上手で、実際に書く活動が始まると、最初は自信のなかった子も、コツを教えてもらう内にだんだん書けるようになり、最後は時間が足りなくなるほど夢中で記事を書き進めていました。「壁新聞を仕上げるのが楽しみ」と話す子もいて、「人に伝える力」が一歩前進しました。
今の時代は「新聞=アナログ」と称され、読む機会が少ない子どもが増えているといいます。しかし、活字を読んで内容をしっかりと読み取るという力はとても大切なこと。ネットでは自分の興味のあることに偏りがちですが、新聞紙面にはいろいろな記事があり、それらを読むことで知識はぐんと広がります。今回の活動は子どもたちの新聞に対する興味を育て、新聞を読むきっかけになりました。
5月29日(日)、12回目となる体育祭を開催しました。会場であるやまびこドームに集まってくる子どもたちは一様に目を輝かせ、今年もとことん勝負にこだわり、真剣勝負に臨もうとする意気込みでいっぱいでした。
競技は、赤組と白組が自分たちを鼓舞する応援からスタート。全員がこれでもかというくらいに体を反らせ、高く遠く声を響かせました。徒競走やリレーではゴールを切るその瞬間まで、全力で走り抜けました。3年生と4年生による棒引き「この一本にかけろ」、そして5年生・6年生によるムカデ競争と9人10脚で襷をつなぐ「TRAIN-TRAINは団結力が試され、チームごとに大きな掛け声を出して息の合った走りを見せました。
綱引きや一球入魂(玉入れ)とおなじみの競技が行われる中、トランスポーター(中学1年)とタイヤライダー(中学生)は、どちらも新競技。トランスポーターは、男女混合4人のチームでフープとボールをリレーでトランスポート(運ぶ)します。フィールド内のコースは互いに交錯するポイントがあり、あわや接触かというほどの激しい走りを見せながらも、それぞれの戦術で連携をとった戦いとなりました。そして、タイヤライダーは、3つの学年の壁を越えて構成したチームで、ロープのついたタイヤに人を乗せ、4人ずつで引っ張ってリレーしていくというものです。コースの中間地点にはコーンが置かれ、それを回旋するときに遠心力で飛ばされないよう、タイヤにしっかりしがみつくライダーたち。白熱した戦いで会場を大いに沸かせました。
自分が競技に出ない時間も、応援団が中心となって全力の応援が繰り広げられていました。赤白それぞれの入退場門では、競技を終えて戻る選手をハイタッチで迎えたり、勝った嬉しさで抱き合ったりする生徒たちもいました。
全力で果敢に挑戦し、勝ちにこだわった熱い一日。正々堂々と戦いを終え、今年の優勝を手にしたのは赤組でした。赤組の陣地では笑顔がはじけ、喜びを爆発させていました。一方で、勝利を逃した白組も、全員が最後まで大健闘したことは紛れもない事実です。悔しさに涙する姿に、見ている方にもこみあげてくるものがありました。
本番を迎えるまで続いた練習も大変でしたが、そういったことを残らず吹き飛ばすようなすがすがしい体育祭となりました。
タイヤライダー
トランスポーター
関東大震災(1923年)、阪神・淡路大震災(1995年)、東日本大震災(2011年)など、度々大地震に見舞われてきた日本。震度や被害の大小を問わず、地震そのものが頻繁に起きていることは知っていても、大きな地震に遭うことは実際にはできません。しかし、疑似体験や訓練を行うことで、いざという時に備えることはできます。そこで学校での災害教育・安全教育として、今年も芳川消防署のみなさんのご協力のもと、6年生と中学3年生が起震車で震度7程度の揺れを体験しました。
起震車では国内外で起こった主な地震と、今後発生が予想される地震を、合わせて10パターンほど再現することができるそうです。その中には長野県西部地震(1984年、震源は木曽郡王滝村)があり、この地震を体験し記憶している先生もいました。どのパターンも、滑るような横揺れ、突き上げるような縦揺れを再現し、児童生徒は固定された机の脚にしがみついて、揺れが収まるのを待つという状況でした。
消防署の方からは「地震が起きたときには、まず頭をしっかり守ること。建物の中ではもぐりこんでいる机ごと移動したり、揺れに乗って飛び出したりして思わず頭をぶつけてしまうこともある。自分の安全を確保した上で、災害に備えてほしい。」とのお話がありました。
学校が位置する松本市から塩尻市に係る「牛伏寺断層」。今後、高い確率で地震が起こるだろうと言われています。今回の体験で、自然の驚異や危険がすぐそばにあることを認識し、児童生徒たちの安全に対する意識が高まりました。
震度表示計(右上)には赤く「7」と
4月22日(金)から27日(水)にかけて、午後の授業を1時間公開し授業参観を行いました。学年別に4日間の日程を設けましたが、いずれの日も多くの保護者の方に参加していただきました。特に小学校1年生にとっては、学校で初めてとなる授業参観。始めはやや緊張した面持ちに見えましたが、授業が進むにつれ活気が出てきました。つい先日まで園児であったことが嘘のように、しっかりと授業を受け、才教生としての仲間入りができたようです。
授業参観のあとは会場を講堂に移し、小松校長から、9年生(中学3年生)と修学旅行で訪れた屋久島でのトレッキングの感想や、学校使命と教育目標についての話がありました。
今年度も、子どもたちの日々の成長のため、教職員一同全力で取り組んでいきます。
保護者の皆様には様々な場面でご協力をお願いすることがあると思いますが、よろしくお願いいたします。
4月18日(月)、学校内での火災発生を想定した避難訓練を行いました。
報知器が作動すると、まず出火場所に近い教室の先生たちが消火器をもって初期消火に当たりました。
消火活動と同時に119番への通報を行い、児童生徒はグラウンドへの避難を開始しました。使用できる階段はひとつに限られましたが、「おさない、はしらない、しゃべらない、もどらない」という約束ごとをしっかり守り、安全に屋外へ逃げることができました。
芳川消防署の方から、「緊急時の避難はありの行列をイメージしてください。先頭の人がペースをつくり、最後尾の人が周囲を確認しながら行動してほしい。」とのお話がありました。
その後、教職員と児童生徒から6名が実践形式の消火訓練を行い、消火器で火に見立てたコーンを狙い水をかけました。一般的に粉末が入った消火器の放射時間はわずか15秒程度。退路を確保したうえで消火器を使うことや火元を的確に狙うといった説明のほか、「火は生き物であり、消そうとする人に向かってくることがあります。火が自分の背より高く上がっていたり、危険を感じたりしたときは、まず自分の安全を守って下さい。周りの人にも助けを求め、無理な消火活動は行わないように。」と話して下さいました。
被害をできるだけ少なくするためには、ひとりひとりが社会の安全を保とうと意識すること。その重要性をこの避難訓練でしっかり学ぶことができました。
ご協力いただいた芳川消防署のみなさん、ありがとうございました。
4月7日(木)、平成28年度入学式を行いました。あいにくの雨模様となってしまいましたが、新入生も在校生も晴れ晴れとした顔で会場に姿を見せ、久しぶりに顔を合わせた友達や先生との会話がとても弾んでいました。
いざ入学式が始まると、厳粛な雰囲気の中、小松崇校長が新入生に向け、「心に秘めていることをぜひ実行し、学校生活の中で数多くの感動を体験して下さい。ひとりひとりが自分の力を信じて理想を求め、何事も全力で取り組んでほしい。」と式辞を述べました。
当日は多くの来賓の方々にご臨席を賜り、県議会議員 本郷一彦様、校友会保護者会より、新入生を歓迎・激励するご祝辞をいただきました。
新入生代表として登壇した加藤くん(小1)は、「たくさん勉強をして、たくさん友達をつくって、なんでもできるお兄さんになりたい。上級生のお兄さん、お姉さん、学校のことをいろいろ教えてください。先生方、立派な才教生になれるように応援してください。お父さん、お母さん、ぼくたちが頑張れるように見守っていてください。」と、堂々と挨拶をしました。
そして、中学校の新入生代表挨拶を務めた五十嵐くん(中1)も、「医師になるという夢を叶えるため、才教学園で学び、心身を鍛えたい。いろいろなことにチャレンジし、仲間と協力して何かを作り上げる喜びを体験し、充実した中学校生活を送りたい。」と抱負を述べました。
入学式終了後、新入生はクラスごとに集合写真を撮影しました。この一年をともに過ごす仲間たちと肩を並べる姿は、いよいよ始まる学校生活への期待と緊張に包まれていました。
翌日8日(金)は1学期始業式。元気な「おはようございます」の声とともに、今年度の学校生活がスタートしました。
校長先生は、「在校生のみなさんは、新入生のみなさんが来るのをとても心待ちにしていました。才教学園の一員として一緒に頑張っていきましょう。」と話をはじめ、特に小学1年生に対し「ランドセルはドラえもんのポケット。その中に入っている教科書は、みなさんに無限の知識を与え、将来の夢や希望を叶えてくれるもの。家族の願いもたくさん詰まっているものなので、大切に使って下さい。」と話しました。
また、真新しい中学の制服に身を包んだ中学1年生には「入学式の記念撮影のときの凛々しい姿が印象的でした。才教学園の中学生として、みんなを引っ張っていくような活躍を期待します。」と話しました。そして、「みなさんが世のため人のために尽くす高い志をもつ真のエリートとなるためには、高い知性を身につけ、心と体を強く育てることが必要。初心を忘れず、仲間や家族のために行動できる人を目指し、自分を磨いていきましょう。」と、才教学園で学ぶ児童生徒のあり方について話す校長先生に、全員が真剣に耳を傾けていました。