投稿日:2023.12.23
第19回さいきょう祭の開催から時間が空いてしまいましたが、こちらの「さいきょう祭レポート」では、各演目を校長先生の視点から振り返ります。
投稿日:2023.12.23
ここで1日の流れがつくられるといっても過言ではないかもしれませんが、その大切な演目を担ってくれた1年生には、「今年もありがとう、よく頑張ったね」という思いでいっぱいです。
壮大なテーマ、地球環境の問題、貧困や格差といった悲しく辛いことがたくさんある現代社会に希望を見出せるような、強いメッセージ性がありました。折りしも、このさいきょう祭の少し前、イスラエル軍によるガザ侵攻が始まり、いろいろと問題を抱えている世界の国々において、今後、子どもたちには共生する力が求められてくると感じています。それは、自然と共に生きる力であったり、差別なく周りの人と過ごしていくことだったり。1年生が発信したことは、大人や社会に対する問いかけであり、大きな意味があります。
学校生活でも大なり小なりさまざまな壁にあたるかもしれませんが、そのたびにこの日のステージを、このときの気持ちを思い出し、成長の糧にしてほしいと思います。
よく通る歌声と群読で私たちを魅了た1年生の衣装も、注目すべきものでした。お家の方と一緒に作った、きょうだいの使った服をリメイクした―など、ご家庭のあたたかい協力に感謝しています。
子どもたちのセリフとリンクしたスライドや、楽しく活気ある指揮から見て取れるように、先生たちの努力や熱量というものもありありと伝わってきました。
6歳、7歳の子どもたちが、前を向いてしっかり立っていられること、最初の発声のタイミングを合わせること、数人が同じリズムで話すことは一朝一夕にはできないことです。迷いなく、さらっとやっているように見えるかもしれませんが、それができる高いスキルをこの学校生活の中で身に付けてきたということもわかってほしい・・・校長としてはそんな思いもあって、客席から熱い拍手を送りました。
投稿日:2023.12.23
静と動のコントラスト、エッジのきいた演出でした。美しいものをより美しく見せること、元気のよさやキレといったものを惜しみなく表現すること。さいきょう祭の演目として、観客に対するエンターテインメント性がひときわ確立された構成でした。
私としては、『ゆうき』の繊細な力強さを3年生として仕上げたことは、「立派」のひとことに尽きます。心に訴えかけ、深いところまで沁みてくるあの表現力は、歌詞の意味を理解し、人に伝えようというところから生まれていたように思います。また、その表現力をより増幅させたあの歌唱力。先生たちの導きによって、あのようにしっとりと、調和のとれた本番のステージを見せてくれた3年生にはとにかく驚かされました。大きな再発見をした気分です。
ダンス前の映像では、日頃の学校生活とさいきょう祭練習に打ち込む3年生の様子が映し出されました。子どもたちがどれだけ考えて頑張っているかを伝えるもので、「このあとにどんなものを見せてくれるのだろう」と、観客を前のめりにさせました。暗闇の中に浮かび上がった「ダンス」「アイドル」の文字。それと対照的な赤・青・銀の衣装とポンポンはとてもインパクトがありました。大ホールの空間をあそこまでひとつにしてくれた感動です。クライマックス、ポンポンで作った「SAIKYO!」の7文字が決まったときには、観客からどよめきの声が上がりましたね。最高でした!
投稿日:2023.12.23
白雪姫と王妃が、"毒りんごによる殺人事件"をめぐってお互いに主張し合う様子は見ごたえ十分でした。ひとりひとりの衣装や法廷セットの完成度の高さ、これらはまさに、私がこだわってほしいと思っているディテールの部分です。
裁判官や弁護人、検察官たちの姿は、「そうそう、中世ヨーロッパはこういう感じだ」と、容易に想像できるほど仕上がりでした。保護者のみなさんの協力があったからこそ、あの完璧な世界観を生み出せたのだろうと思います。
「2年生でここまでの劇を見せてくれるのか」と、私を感心させたその大きな理由は、まだ裁判たるものを詳しく知らなかったとしても、その雰囲気をしっかり伝えてくれていたからです。裁判に関わる人たちの立ち居振る舞い、弁護士然たるもの、という話し方はあっぱれでした。加えて言えば、傍聴席で裁判の成り行きを見ていた村人たち。本来は発言を認められる立場ではないのですが、証言台に立つ王妃と白雪姫に同調や反駁(はんばく)の声を上げる様子は目を見張るものがありました。もちろん、セリフがない部分での演技も雰囲気づくりには重要なこと。ただそこにいるのではなく、裁判に集中している群衆の役割をしっかり務めあげたことは称賛に値します。
白雪姫と王妃の諍いのシーンもそうですが、ひとつひとつの場面が折り重なった2年生の劇は、今思い返しても、「見逃していい場面はどこにもなかった」と言えるくらい濃密な作品です。
投稿日:2023.12.23
♪合奏『クラッピングファンタジー第2番』
♪リコーダー奏『風になりたい』
♪合唱『どんなときも』
鍵盤ハーモニカとピアノ演奏を伴ったクラッピング、リコーダー奏、合唱と多彩な内容ながら、ステージ自体はとてもシンプル。それゆえ、全体が醸し出す静謐さで勝負してくれたのがこの4年生でした。
難度の高いクラッピングは、音が反響し過ぎないように音響スタッフの皆さんにも協力もいただくなど工夫をしたと聞いています。おかげで会場に届く音はすっきり鮮明なもの、輪郭のはっきりしたものになり、あの息の合ったパフォーマンスに私は素直に感動しました。
リコーダー奏は技術的な演目。ともすればミスタッチが目立ってしまいがちな曲ですが、低音域、高音域まで出しづらい音もパートごとにしっかり仕上げて、本番で4年生の持つ強さを発揮してくれました。
そして、合唱の裏話を少し。校内リハの段階では、2部合唱とはいえまだ粗さもあったという記憶がありますが、そこからの約2週間、4年生は「いい声を響かせよう」「もっと感情を込めた表現を目指そう」と、歌の本質を求めて練習に励んでいました。大きいステージでも安心して歌えるまでに成長した子どもたちのことを、とても誇らしく思います。その『どんなときも』を歌う子どもたちの後ろに次々と映し出された感謝のメッセージ。私の近くに座っていた4年生の保護者の方は、涙を禁じ得ないといったご様子でした。子どもたちの思いが届いたあたたかいステージに、私も胸を熱くしました。
投稿日:2023.12.23
5年生以上にはなりますが、全校合唱を除けば、異なる学年が同じステージに立つのは、合唱部と吹奏楽部に限られます。練習時かけた時間に裏付けられた完成度の高い発表を聴くことができました。頑張ってやってきたことが自信につながっているのだと思います。より鮮明な歌声、演奏を奏でられるようになっていくだろうなと、これから一層期待が膨らみます。
【合唱部】
♪同声四部合唱 『けだものがきた』
♪混声四部合唱『群青』 作曲:Ayase
【吹奏楽部】
♪『RPG』
♪『J-BEST '22』
投稿日:2023.12.23
♪合奏『JURASSIC PARK』
♪合唱『恐竜が来たぞ!』
合奏は、巨匠ジョン・ウィリアムズの「Jurassic Park」。まずは、難しい楽曲によくぞ挑戦したなと思います。前半は静か、後半から大きな流れ。ミディアムテンポに裏打ちのリズム...。自分も楽器を演奏していたのでよくわかりますが、パートの掛け合い、間合いが長くなるほど、ああいったリズムを取ることに苦労するものです。
校内リハーサルで進捗状況を見て、「2週間でどれだけ仕上げていけるか」がカギになるな、と。あの頃は自分のパートを演奏するのに一生懸命で、音楽科の先生の指揮を見る余裕がそこまでなく、走ったり遅れたりしていたのですが、本番までにあそこまでまとめ上げたことはとても素晴らしかったです。
恐竜を題材に選んだ5年生が、呼吸を合わせてやり切ったことに、私は大喝采です。来年につながる大きな演目でした。
この学年については、以前から、合唱が上手だなと思ってはいました。タイトルだけ見れば威勢のいい歌なのかと想像していた当初の思いはいい意味で裏切られ、見事な表現力で圧倒してくれました。様々なメロディーラインを歌い切った歌唱力の高は、昨年の「ハナミズキ」などで鍛えられてきたことも大きく影響しているのでしょうね。歌としての芸術性の高さを感じ、いい作品に触れられたと思っています。
投稿日:2023.12.23
3年生に同じく、静と動のコントラストが印象に残っています。
教育活動の一部として体育科の授業に取り入れられているダンスですが、あのように楽しそうに踊っている様子を見ていると、見ているこちらの気分も口角も上がりっぱなしになります。特に、男子の懸命さに私は魅かれました。
7年生が作り出した空間は、最初からびしっと決まっていました。「この場面では絶対に動かない」というこだわりの登場。4チームそれぞれが繰り出す表現力は、受け取る側のイマジネーションに訴えるものもあったでしょう。
9月の授業参観の時点では保護者に作り始めの頃を見ていただきましたが、あれから時間をかけ、いろいろな話し合いや衝突を良い作品作りの原動力として、見応えのある発表とチームワークで会場を盛り上げてくれました。
照明を落とした中で始まった、混声合唱『COSMOS』。ばらばらに散ったポジションから、そして、動きながらあれだけの声を届けられたということは、7年生の「歌う力」を十分に証明していたと思います。最後の「スターライトパレード」にかけて緩急のある演目は、とても私好みでした。
それぞれが個性的なエンターテイナー、パフォーマーとして舞台に立っていたこと、すばらしかったです。
投稿日:2023.12.23
布で見事に表現しきった嵐のシーンが、とにかく圧巻でした。大きなうねりに翻弄されてかしぐ小舟、それに合わせて右に左に振られる浦島太郎たちの演技もさることながら、あの一体感は格別でした。これこそ「THE 才教」というか、一丸となって同じ方向を向けば、これほどのパワーが生まれるんだという。担任の先生の熱量が子どもたちに伝わり、それを余すことなく昇華させたと思います。
キャラクターの性格や特徴をしっかりと掴んだお芝居、キジや烏帽子姫の歌のうまさ、亀の味のある演技、女官たちの健かさ(したたかさ)などに6年生「らしさ」が溢れていました。
どの役も、この6年生だからこそ出せた色味です。非の打ちどころのない演奏と演出は、今回のさいきょう祭でも際立っていたと思います。
投稿日:2023.12.23
一言で表すなら、「挑戦」の舞台。前半は演劇面で観客をしっかり惹きつけて「ワクワク感」を高めること、そしてコンサートの盛り上がりへと向かっていく...。「舞台」としたことで、合い間合い間に心情などを伝える歌が入るではなくなり、前半は芝居重視、後半からクライマックスにかけては歌唱メインと、色合いが異なる作品を届けてくれました。
そういった意味で、これまでの8年生が演じてきたミュージカルとは一線を画すものだったと思います。現に、こだわりが垣間見えた背景やエンドロールからも、芸術面、技術面でSTEAM学習の要素を大いに含んだ演目の先駆けになりました。
やはり主人公のバスター・ムーンを演じた彼女の演技なくしては、このように引き締まった作品にはならなかったと思います。また、ムーンの脇を固めるキャストの頑張りも特筆すべきもの。体全体を使った演技と歌に魅了されました。例えば、ムーンの劇場に勤めるミス・クロウリーは、そのふるまいやセリフ回しが作品のいいアクセントになっていたと思います。キャスト以外のところ、的確な演奏や道具の使い方も大したものです。
オリジナルの映像作品、1作目と2作目をうまくミックスさせた脚本を作るのには相当な苦労があったと思います。しかし、その脚本に沿って物語を進め、さいきょう祭の演目として完成させたことにおよそ感服です。
本番での機転の利いた状況判断と、それに合わせた楽団の対応力で乗り切ったこと。8年生が紆余曲折しながらも一体感を培って成長してきたことの表れです。舞台に意識を集中させていたあの感覚と一体感で、これからの1年間、才教学園をリードしていってほしいです。